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遠い景色を見つめて瞼を落とせば今も君がいた

2008/02/27 17:17

昔から雨が嫌いだった



昔から雨は全てを連れ去ってしまうから―――



そしてそのまま雨を嫌って生きてきた私の前に現れたのが



あなただった・・・・



追憶、忘れられない君へ。




「千広さんは雨が嫌いなんですか?」

今でも思い出せる・・君のあの優しい笑顔が。


祐輔は雨が好きだった。

本当は外出禁止なはずなのに、雨が降れば外にいた。

一身に雨を受けていた君を見て私は何も言えずにただ呆然と見ていた。

・・・・あまりにも君が儚げに、哀しそうにしているもんだから。


「・・・・雨は全てを奪っていきますから」


冷たく、何度追い払ってもついてくる貴方に嫌気がさしたのを覚えています。

あの時も誰かが傍にいる事は大嫌いだった。


「僕は雨、好きですよ」





その日は主治医の村田先生と一緒に薬をもらいに行く日。

突然振り出した雨にきっと誰もが困っていた。


外に出て驚いた・・・・やっぱり祐輔がいたのだ。

雨にうたれる祐輔はどこか綺麗だった。なんとなく雨が好きになった。

「っ・・おいっ、西崎!今日は外に出るなとあれほど行っただろ!!」

隣にいたはずの村田先生はすでにそこにいなかった。

傘を片手に、濡れるのも惜しまず祐輔に駆け寄った。

「村田先生に・・・・千広さん?」

「・・先生の言う事は聞いたほうがいいんじゃないですか、せっかく治るんですし」

嫌味を言った。

「千広さん・・雨、好きになりましたか?」

驚いて何も言えなかった。

どうして貴方はそんなにも心が広いんですか?

私は今、貴方に対して嫌味を行ったのに・・貴方だって気づいただろうに。

「・・・・私でも、洗い流してくれるでしょうか」

気がつけば祐輔に歩み寄っていて、涙が流れ・・それは雨の雫によって隠された。

あの頃の私は今よりももっと弱くて・・すぐに涙した。

「洗い流してくれているじゃないですか、今だって」

嗚呼、なんて綺麗なんだろう。

「ほらお前も傘ん中入れ!濡れんだろーが、馬鹿」

相変わらず医者とは思えない口の悪さで。

それが彼の良いところだったのかもしれない。

「・・いいよ、私は。薬もらってくるから先生は先にその人病室につれてきなよ」

どのくらいの間ここにいたのだろう・・祐輔の顔は真っ白になっていた。

顔色が悪いときは気持ち悪くなる。患者しか知らない独特の嫌悪感。


「千広さん、雨ですよ雨!」


男とは思えないテンションで病室に入ってきた貴方は雨だと窓の外を指差した。

「祐輔は本当に雨が好きなんですね・・貴方が好きになった雨はどんな雨でした?」

「雨は決して楽しいものばかりじゃないんですよ」

答えになってないと冷たく言えば、貴方はまた笑った。


私の雨は貴方でした・・儚げで、哀しそうで、けれど綺麗で。



二月八日、祐輔は病室で静かに息を引き取った。



治るとされていた祐輔は治らず・・まるで神が遊んでいるかのような出来事だった。

泣いてはいけない、泣いてはいけない。

いつからだったろうか・・私は涙を我慢するようになった。

泣いたらまた私が許せなくなるような気がして・・泣いている暇などつくりたくなくて。


「雨ですよ、祐輔」


貴方もどこかで見ていますか?

泣きません・・貴方を思ってなんて泣いてあげません。

泣くのじゃなく、笑ってさしあげます。

貴方が雨をその身に受けていた時、本当は泣いていたんですよね?

知っていました。わかっていました。

けれど聞けなかった・・貴方のその哀しそうな笑顔をみるたびに。

・・・・私は誰かの雨になれるでしょうか?

貴方が私の穢れを洗い流してくれたように、私も誰かの穢れを洗い流せるでしょうか。


「貴方は雨が好きですか?」


この儚げで、哀しそうで、けれど綺麗な・・・・誰かの涙のような雨を。

私は貴方のようにこの身に受けて。

泣きません。

そう・・信頼できる方の前でしか泣きません。


「祐輔・・・・今日も雨は綺麗です、まるで貴方のようで」



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それは,よかったよね.
多分,どっちも.

そして,私もv-17



はい、雨は好きですよ。
祐輔がきっかけなんですけどね。

大好きです。



私は雨すきです!
仲間がいたね。
じゃあ、ちひろは結局、雨をすきになれた?



これって実話Σ(゜□゜;)
塾、早く行きたいー。



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